始まりの春

二十四節気の第二十四大寒を過ぎれば、旧暦のお正月(1月28日)、そして2月に入れば二十四節気第一正月節。立春(2月3日)、つまり暦では1年の始まりになります。この立春の前日がいわゆる節分、「季節を分ける」ところから『節分』と呼ばれるわけです。古来農夫は折々の季節に真摯に向き合い、季節の恵みを受けながら暮らしを立ててきたのです。

『本格梅酒』

春と言えば、何をイメージしますか?
春の季語で言えば『梅』です。春の代表的な桜はむしろ晩春を指し、万葉集の時代から梅を詠んだ歌が実に多いのです。梅は中国紀元前2000年頃の文献にその記述があり、中国を原産とするバラ科サクラ属の落葉高木です。梅の品種にもよりますが、「梅酒」などに使用される大実系梅は、自家受粉率が低く、梅林に受粉用の小梅などを植えミツバチを放つそうです。
ミツバチは暖かくなると活発に飛び回り、気温が下がると巣箱に戻ってきます。また気圧にも敏感で、気圧が下がると巣箱に戻り、その後雨が降ると言われています。天候が安定しないと梅が花を付けず、ミツバチが活発に飛び回ることができないため、梅の実は結実しないのだそうです。我々は自然界より、このように素晴らしい恵みを知らず知らずのうちに享受しているのですね。

ここで少し『梅酒』のお話をしましょう。2015年に梅酒の基準が新たに設けられました。梅酒の主成分は梅・糖類・酒類の3つです。添加物に頼らず、梅の実だけから造る本格派梅酒のことを『本格梅酒』とし、上記3つの主成分以外の酸味料、香料、人工着色料などを添加したものを『梅酒』と記載するように制定されました。

リカーストアーへ行かれた時に、ラベルを注意してご覧になって下さい。梅酒は日本では古くから家庭でも作られ、健康に良いとされてきました。我々日本人にとって非常に馴染み深いお酒だったのです。クエン酸やポリフェノール、カリウムも多く含まれており、日本では代々家族の健康を想い、造られてきた伝統文化でもあります。さあ新しい季節の始まりです。それでは美しい季節と自然の恵みに乾杯!

では一献献上!

(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)

Ume