バンクーバーの夏本番

二十四節気の第九・芒種(6月5日)が過ぎて、夏至(6月21日)まであと少しという頃でしょうか。バンクーバーでは6月から初夏らしく過ごしやすい天候が続く頃ですね。一方、日本では関東地方がちょうど梅雨入りする時期でもあります。6月は旧暦『水無月』と呼ばれ、諸説あるようですが、雨の多い『水の月』や、田んぼに水を引く月から『水無月』と呼ばれるようになったそうです。

『おもてなし』の心

東京オリンピック招致で『お・も・て・な・し』という言葉が有名になりました。日本の心、そう『おもてなし』の心です。『おもてなし』の由来は、『表裏がない』対応を心掛けるということ。もう1つは『モノを持って成し遂げる』だそうで、ここで言う『モノ』は『気持ち』という意味で、つまりは『表裏のない心で相手の気持ちを察し、思いやる心根で成し遂げる行為』ということでしょうか。

京都生まれの私は、京都の『納涼床』という夏の風物詩を見て育ちました。これは京都市街に流れる鴨川や京都市北部の貴船、高雄などの川沿いに座敷を設けて季節の京料理を楽しむ風習で、梅雨入りの今頃から始まります。この時期、鴨川沿いは納涼床で大変な賑わいですが、料亭内の席はひっそりと静まり返っています。なぜだか分かりますか? 夏の暑い時期、京都は盆地であることから大変蒸し暑い日が続き、夕方に激しいにわか雨が降ることが多くあります。この夕立ちの時のために、繁忙期であるにもかかわらず、料亭内の席は、桟敷のお客様のためにわざわざ空けておくのです。このことを料亭のご主人に尋ると、「お客様には申し上げませんが、お客様のことを考え、大切にお出迎えするのです」とお聞きしました。この心根こそが、お客様の心に温かく届くのだなあと感心しました。

一般の方やレストラン関係者から「どんなお酒を出せば良いですか?」とよくお尋ねいただくことがあります。まず申し上げるのが「お客様のことを想い、大切にお出迎えする心で、お酒や献立を考えられてはいかがですか?」とお話します。そう『お・も・て・な・し』の心です。皆さんは大切な方をどうやってお出迎えしていますか?

では一献献上!

(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)

Kyoto Kamogawa