秋の深まり

二十四節気の秋分の日も過ぎ、第十七・寒露(10月8日)の頃でしょうか。秋分の日を境に昼よりも夜が長くなり、秋の装いに深まりを感じる頃、バンクーバーはすっかり朝晩冷え込む季節です。日本ではまだまだ残暑が続く日もありますが、豊かに実った稲穂に蜻蛉がとまる田園風景が、季節の変化を感じる頃になりましたね。

お酒の『季節』

前回はお酒の『温度』をテーマにお話しましたが、今回はお酒の楽しめる『季節』についてお話をしたいと思います。日本酒と季節には深い関係があります。日本酒の原料であるお米、それは『春』豊作を祈り田植えをし、『夏』心を込めてお米を育て、『秋』に神に感謝しつつ収穫する。そして『冬』から翌年の『春』にかけて蔵人たちは、精魂込めて酒造りをして1年(四季)を終えるのです。その時、四季折々で美味しい日本酒があります。

日本酒の飲み方は人それぞれ。これは私の個人的な飲み方ですが、その季節に楽しめる日本酒と、その時もっとも旬なお料理と一緒にいただきます。これからの季節では、脂分ののった戻り鰹や秋刀魚と『ひやおろし』が合うでしょう。半年熟成され深みのあるこのお酒は、常温〜ぬる燗でぜひ楽しんでください。ここバンクーバーではサーモンといただくと美味しいでしょうね。春には若筍と純米酒やうすにごり酒で花見酒、夏には新鮮な夏野菜、鱧や鮎といったお料理で吟醸酒を冷酒で、また原酒をロックで飲むとお料理が引き立ちます。皆さんもその季節の新鮮な食材と日本酒のペアリングを探してみて下さい。

時間を掛けて、蔵人の熱い思いを感じながら手酌で飲む。人肌に芳香が立ち、その季節の恵みに感謝して季節を楽しむ。日本酒の美味しい季節です。  蔵人の熱い想いと自然の恵みに感謝しつつ、一献献上!

(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)

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