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四季とお酒『冬編』

12月(師走)に入りめっきり日脚が短くなり、日ごとに寒さを増す頃となってきました。二十四節気第二十一、冬至のひとつ前の大雪(2016年12月7日)に当たる頃です。この時期はその年のお米で醸造される『新酒』が出始める頃です。皆さんはもう『新酒』を飲まれましたか?

今回はこの『新酒』にまつわるお話をしていきましょう。

『新酒』って?

『新酒』ってどういう意味かご存じですか?

「酒造年度」(BreweryYear)、つまりその年の7月1日〜翌年6月末までに醸造されたお酒と定められています。例えば平成28年7月1日〜翌年平成29年6月30日までに醸造された日本酒であれば、「28BY」とラベル表示されます。一般にはその年に収穫されたお米で一番に醸造されたお酒のことと理解して良いと思います。

今なら『しぼりたて』という日本酒を店頭でよく見かけます。酒造りの中で、出来上がったもろみを酒と粕に分ける工程がありますが、これを「搾り」、「あげふね」、「上槽」、「槽がけ」といった呼び方をします。通常、火入れ(熱湯に浸す)処理をしてから出荷しますが、「しぼりたて」は火入れせずに出荷されます。従って、味わいは若々しく、フレッシュな酒質で中には炭酸ガスを多く含んだものもあります

また「新酒」に関係する日本酒で、『新走り』というものがあります。しぼりたての新酒、つまり出来上がったもろみを伝統的な槽や袋取りで絞る時、最初に出てくるお酒のことを言います。通常、薄く白濁しており、一般にアルコール度数は低く、荒々しくフレッシュで微炭酸で爽やかな酒質になります。

さて今回は「新酒」についてお話をしましたが、この季節多くの酒蔵から色んな「新酒」が店頭に並びます。蔵人の熱い思いを感じる季節です。師走ならではの爽やかな日本酒が楽しめる季節ですね。

では一献献上!

(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)