バンクーバーの楽しみ方

二十四節気の第十一・小暑(7月7日)が過ぎ、言わば、四季を通じてもっとも暑い頃ですね。バンクーバーでは6月から初夏らしく過ごしやすい天候が続き、スタンレー公園やイングリッシュベイ周辺で、この時期の日照時間を楽しむ人々で大変賑わいます。旧暦で7月は『文月(ふみづき)』と言われ、稲穂が膨らむ時期であるため『穂含月(ほふみづき)』や『穂見月(ほみづき)』と呼ばれ、田んぼの稲穂が頭をもたげ、稔りの秋を少しずつ予感させる季節でもあります。

お酒と『お米』

以前、酒米のお話をしましたが、今月『穂含月』にちなんで、もう少しお米のお話をさせていただきます。日本酒の分類は使用するお米の精米歩合と含まれる原材料によって分類されていますが、『精米歩合』とは何だかご存知ですか?

これは白米の玄米に対する重量の割合をいいますが、精米は玄米の表層部から削っていき、表層部の約10%あまりを削った状態でうるち米(食用米)の平均的な精米歩合(90~92%)となります。そして更に削り、

① 普通酒: 特に規定なし(一般的に70%あまり)
② 本醸造酒/純米酒: 70%以下
③ 吟醸酒/純米吟醸酒: 60%以下
④ 大吟醸酒/純米大吟醸酒: 50%以下

と分類されるようになりました。上記の②~④を『特定名称酒』とし、各2種類あるのは醸造用アルコールが添加されているかどうかの違いで、その割合は全体の10%以下と規定されています。

お米の表層部では、脂肪、タンパク質、ビタミンなど無機質系成分が多く含まれ、中心へ削れば削るほど、醸造工程で重要な役割を果たす有機質系成分であるデンプン質が多く含まれるようになります。このように精米歩合や成分の違いに加え、仕込み方法の違い、醸造工程の時間、温度管理などを細かく調整して目指す日本酒を造っていくのです。お米と清水という自然からの恵みを大切に、蔵人たちは精魂込めてお酒に向き合い、人々の笑顔を想い日本酒を醸すのです。

では自然の恵みに一献献上!

(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)

Saito Eikun