2月・如月(きさらぎ)
2月は旧暦で如月と呼ばれていますが、衣更着月、梅見月、仲春などとも呼ばれています。如月は諸説あるようですが、寒さがぶりかえし衣を更に着る月として「衣更着(木さらぎ)」からきているようです。2月には旧暦でいうお正月にあたる立春(2月4日)があり、その前日が季節を分けるという意味からの『節分』になります。新しい年の前夜、節分の豆まきをし、邪鬼を払い福を呼び込み、新しい年の始まりである春を言祝ぐのです。
日本酒のボジョレーヌーボ
その新春の朝に搾ったお酒をその日に届ける言わば、日本酒のボジョレーヌーボとも呼ばれる『立春朝搾り(りっしゅんあさしぼり)』を販売する日本国内の酒蔵もあります。新春の朝、搾ったばかりの火入れをしない生原酒です。2月はフルーティな香りと躍動感あふれる生まれたての新酒を楽しめるダイナミックな月でもあります。
麹菌と酵母菌
前回少し触れた『麹菌』と『酵母菌』について詳しくお話ししていきましょう。世界の国々にはその国の地元で採れる穀物が主原料となっているアルコールが多くあります。日本酒や焼酎、そしてビールもそうです。その理由は穀物に含まれるデンプンを利用して醸造させるからですが、高校で勉強した化学のお話みたいになりますが、簡単にお話ししましょう。 日本酒の主原料はご存じの通りお米です。このお米に含まれるデンプンが醸造工程で重要な役目を果たすのですが、このままでは発酵してもアルコールは生成されません。まずブドウ糖に分解しないとアルコール(同時に二酸化炭素も発生)は生成されません。その時『麹菌』は酒米に含まれるデンプンを糖化させる役割を果たし、『麹菌』が造った糖をアルコールに変えるのが『酵母菌』です。 このように『麹菌』と『酵母菌』はあたかもおしどり夫婦のように力を合わせ、酒蔵の中でまだ寒さの厳しい2月、極上の日本酒を醸していくのです。美味しい新酒が出回る新しい季節の始まりです。では素晴らしい日本酒に一献献上!
(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)