春本番

二十四節気の第三・啓蟄(3月5日)と第四・春分(3月20日)の頃です。春分の日は、昼夜の時間が逆転して日中の時間が長くなる時期でもあり、冬至と夏至の中間にあたります。この前後7日間が春のお彼岸ですね。旧暦では啓蟄からを仲春と呼び、蕾は色づき始め、自然の生き物たちが活動を始める頃、春本番でもあります。

お酒と水

今回は日本酒の成分の中で八割以上を占め、醸造工程で非常に重要な役割を果たす『水』についてお話したいと思います。

日本酒は原則として、米、米麹、水で作られ、その酒造りに使われる水を『仕込み水』と呼びます。それ以外にも『洗米』やアルコール調整の『割水』としての役割もあり、酒造りの工程ではたくさんの水を使用しています。水は一般的に『軟水』と『硬水』に区分されますが、これは水に溶けているミネラルの含有量を『硬度』で分類し、ミネラルの含有量が少ない水を軟水、多い水を硬水としています。

軟水・硬水では日本酒の味わいも大きく変わるのでしょうか? ミネラルを豊富に含んでいる硬水は、醸造に必要な有効成分が多いため、醸造が早く進み、口当たりはキリッとコクのある辛口のお酒が多く、反対に軟水は醸造が穏やかに進むので、柔らかく深みのある比較的中~甘口のお酒が多いようです。例えば兵庫県・灘地区では『宮水』と呼ばれる硬水を使用しており、男酒などと呼ばれキリッとした辛口のお酒が多く、これに比べて京都府・伏見地区の水は『伏水』と呼ばれ、比較的硬度が低い中硬水を使用しているため、しっとりとした深みのあるお酒が多く、男酒に対して女酒と呼ばれ、酒質は対照的です。

その他、新潟、石川、福井など北陸地方は硬度が低い軟水を使用しているため、酒質はサラッとしており非常に飲みやすいお酒が多いようです。『水』それはまさしく自然からの恵み。蔵人はその地で耕されるお米と清水に感謝しつつ、精魂込めてひと冬、酒造りに専念するのです。さあ春本番。

では一献献上!

(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)