8月・葉月(はづき)
8月は別名「葉月(はづき)」、「穂張月(ほはりづき)、「仲秋(ちゅうしゅう)」などと呼び名は様々ですが、落葉し始める月(8月)として「葉月」と呼ばれるようになりました。前号でお話した土用明け(2018年8月6日)の後、立秋(2018年8月7日)からが、暦でいう秋の始まりになります。
残暑お見舞い申し上げます
今月から暦の上では秋とはいうものの、まだまだ残暑の厳しい日が続くと思われます。日本では7月に西日本豪雨が発生し、多くの住民の方々が被災されました。そして梅雨明け、全国各地で連日記録的な酷暑で体調を崩されている方も多いと聞いています。どうぞ水分補給、食事と睡眠を十分に取って健康にご留意下さい。また西日本豪雨と連日の酷暑で被害に遭われた多くの方々へ、心よりお見舞い申し上げます。
「避暑(ひしょ)」と 「納涼(のうりょう)」
この夏、暑さが厳しくなっているとメディアで連日伝えられています。そこでこの厳しい8月に「避暑」と「納涼」について少し考え直してみました。「避暑」という意味を調べてみると「夏の暑さを避けるために、涼しく過ごしやすい気候の土地へ一時的に行くこと」とあります。これは言わば、非常に現代的な発想で「8月、避暑地の軽井沢へ行きます」のように、暑さから逃れる行動そのものという事になります。
それに対して「納涼」とは、夏の暑さを過ごしやすくする工夫、涼しさを味わう知恵ということになるでしょうか。暑い夏から逃れるという行動ではなく、その地に留まり、どうすれば過ごしやすく出来るかの工夫、夏をむしろ楽しく過ごす知恵、それが「納涼」という言葉にあるのだと思います。
以前、京都の夏の風物詩として『納涼床』について書きました。京都市街を流れる鴨川沿いに桟敷を設え、夏の旬な食材を使った京料理と日本酒で京都の蒸し暑い夏を、粋に過ごす工夫・知恵それが『納涼床』というわけです。「涼しさ」は、鴨川の水際に桟敷をしつらえる。サンズイ「氵」に「京」で”涼しい”となる所以でしょうか。京都に限らず、夏を過ごし易くする「知恵」は津々浦々にあるはずです。
夏の暑さを楽しむ日本酒の飲み方
ここで暑い夏に冷酒を楽しむためのポイントを少しお話しします。
- 冷酒の飲み頃温度は約5~15℃と様々(日本酒によって飲む温度を調整)
- 酒器を選ぶ(ぐい吞み、馬上杯、ワイングラスなど)
- 日本酒だけでなく冷蔵庫に酒器(グラスなど)も一緒に冷やしておく
- 原酒などはオンザロックで飲むと美味しい
- 温度が下がれば、飲みやすくなるため、飲み過ぎには注意
冷酒として楽しめる日本酒のタイプ
夏に楽しめる日本酒の種類も少しご紹介しておきます。
<吟醸酒>
40%以上精米したお米と低温で長期間発酵させた日本酒を吟醸酒と言いますが、一般に淡麗で飲みやすく冷酒に適しています。
<無濾過無加水生原酒>
火入れ、ろ過、更には加水していないタイプの生原酒のこと。酵母がまだ生きているので要冷蔵ですが、醸造工程で炭酸ガスが発生しているため、喉越しが爽やかで夏の季節に合います。
<スパークリング>
醸造工程でアルコールと炭酸ガスが自然に発生しますが、人工的に炭酸ガスを注入している日本酒もあり、このスパークリング系の日本酒は一般的にアルコール度数の低いタイプが多く、夏期だけでなく女性中心に人気の日本酒です。
毎日の生活から、厳しい夏を楽しむ工夫と知恵。日本人は昔からその土地で工夫を凝らし、素晴らしい季節を「言祝ぐ」知恵がありました。「納涼」は厳しい夏を過ごす日本人の知恵・文化だと思います。
まだまだ厳しい残暑は続きますが、美しい夏に一献献上!
(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)