12月・冬将軍
12月に入り、一層寒さの厳しい季節がやってきました。ここバンクーバーでは雨模様の日が多くなってきましたが、クリスマスのイルミネーションが街灯を美しく飾り、ラジオから聞こえてくるクリスマスソングが人々の心をほんの少し癒してくれています。
日本では師走になると冬将軍の到来と共に、初雪の便りもあちらこちらから聞こえてきます。もう年の瀬も間近です。
日本酒紹介
今年最後の日本酒ブログ『一献献上』になりました。コロナ禍で掲載を続けてこられたのも読者の皆さんのおかげです。厚く御礼申し上げます。
さて今回ご紹介する酒蔵は、山形県・楯の川酒造。2010年から全量純米大吟醸酒を製造しており、精米歩合1%の日本酒、「光明」を醸造するなど、大変話題の酒蔵です。
純米大吟醸・三十三(さんじゅうさん)
春夏秋冬を二十四等分した暦「二十四節気」では、お正月・小寒、大寒で始まり、大雪、冬至で一年が終わりますが、冬のこの季節を「大雪」と呼び、雪が激しく降り始める頃とされています。「雪いよいよ振る重ねる折からなれば也」と「暦便覧」ではこの季節を表しています。
十二月のこの季節、 冬の魚の象徴とされる鰤が旬を迎え、冬至にかぼちゃの煮物を食べて無病息災を祈ります。以前から「季節を愛でる」というお話してきましたが、今年はコロナ感染拡大の影響で人々の目に映る年の瀬は今までと少し違うかもしれませんが、師走の慌ただしさの中、生活の中で目に映るちょっとした風景や食べ物に季節を感じる心の余裕を持ちたいものです。
師走の早朝、杜氏と蔵人たちは新米で醸したばかりの新酒を神棚に献酒します。今年も無事酒造りが始められた事、そして来春まで続く酒造りが無事終えることが出来るようにと静かに手を合わせます。
蔵の外には紅(あか)く色づいた南天の実に、夜半から降り積もった雪が鮮やかに輝きます。杜氏は深々と降りしきる雪を眺めながら季節の恵みに静かに感謝します。
季節の恵みに、一献献上!
(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)