バンクーバーの夏

二十四節気の第七・立夏(5月5日)は春分と夏至のちょうど中間にあたり、この立夏から立秋の前日までが暦でいう夏になります。バンクーバーでは澄みきった青空に青葉が映える季節ですが、暦ではもう夏なのですね。

さて『一献献上』では日本の四季折々の中で、日本酒を楽しむヒントをお話ししてきましたが、今回は日本酒について、物流や市場の視点から少しお話ししていこうと思います。

『地産地消』と『知産知消』

皆さんは『地産地消』という言葉をご存知ですか? 1981年に生まれた言葉で、人口減少や高齢化が進む地方の経済再生のカギになるとメディアに多く取り上げられた言葉ですが、良いことばかりではなく、その経済効果がその地域で閉じてしまうというデメリットもあります。

もう1つ『知産知消』という言葉をご存知でしょうか?これは消費者が生産者と商品をより良く知り、生産者はその市場でどのようにして商品が消費されるかをよく知った上で物作りをするという意味です。これは消費者と生産者を強く結びつけ、地域の経済再生に留まらず、海を越え人々を繋ぎ、ビジネスを生む大きな原動力となっていくと考えられています。酒造りは旧来地元の米と水を使って醸造され、その土地の食産物と共に、地元の風土や歴史の中で育くまれてきた伝統文化とも言えます。『知産知消』の考え方には、消費者の皆さんに日本酒を楽しんでいただく重要なヒントが隠されているのではないでしょうか。

つまり、醸造元は市場でどのように日本酒が消費されるかを知った上で酒造りをし、逆に消費者である皆さんは醸造元のことを正しく知るばかりでなく、日本酒本来の良さを引き出す飲み方を知ることが日本酒の素晴らしさを感じていただくことになるのだと思います。そして我々日本酒の販売に関わる者は、皆さんに日本酒について正しく伝えていくだけでなく、カナダ市場にどのようにして日本食文化や日本酒を取り入れることができるかを考えていく役割を担っているのでしょう。日本酒を通して皆さんに笑顔を届け、その笑顔を灯りに、日本酒をカナダの人々の生活に深く根ざしていくお手伝いができればと強く願っています。

では一献献上!

(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)

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