7月・七夕

 日本各地では梅雨明け前の不安定な気候が続いているかもしれませんが、ここバンクーバーでは透き通った青空に気持ちの良い日差しが眩しいベストシーズンの始まりです。

 7月は和風月名で文月(ふみつき)、また稲穂が実る月として穂含月(ほふみづき)とも呼ばれる頃ですが、やはり7月は子供の頃から親しんできた「七夕(たなばた)を思い出します。この七夕の節句は、五節句のひとつ「七夕(しちせき)と言われ、中国に古くから伝わる牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)星の話と、日本古来の農耕儀礼にある棚機津女(たなばたつめの信仰から、七夕の節句として親しまれるようになったそうです。

酒米(さかまい)とは

 今回は少し酒米について話をしたいと思います。酒米は日本酒を醸造する原材料、主に麹米(こうじまい)として使用される米を指し、正式には「醸造用玄米」と呼ばれ、農産物検査法により一般に食用米とは別の基準で定められている醸造用に特化したお米の事を指します。山田錦、雄町、美山錦などは皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。

SAKE rice Yamagata

心白(しんぱく)とは

 酒米の特徴としては、大粒で心白と呼ばれる中央の白い不透明な部分が食用米と比べて大きく、稲の背が高いので倒れやすく栽培が難しいと言われています。また一般的に酒米は食用米と違い、食べても美味しくありません。

 この酒米の心白にはデンプンが多く含まれ、お酒の醪(もろみ)にも溶けやすい性質があり、透明感のある酒質に仕上がります。また酒米の外辺部分に多いとされるタンパク質や脂肪、ビタミン等は旨味に繋がったり、醸造工程を促進する重要な成分なのですが、逆に雑味や苦味につながる成分でもあります。

 良い酒米は、精米する工程で高精米に耐えられるように米粒自体が固く、醸造の際に重要とされている吸水率が高いとされています。このように酒米には様々な性質がありますが、酒米のこの心白が酒造りの工程で大変重要な役割を果たすことになるのです。

酒造好適米

 酒造好適米(酒米)は、地産地消という考え方から、全国津々浦々で栽培されています。

現在、農水省に銘柄登録されている品種で1120種類を超える酒米があるそうです。代表的な品種としては山田錦(兵庫県)、五百万石(新潟県)、美山錦(長野県)、雄町(岡山県)、愛山(兵庫県)、八反錦(広島県)などが有名でしょうか。

 これらの銘柄は、全国各地でも独自で栽培されるようになり、全国でも日本酒醸造が盛んな土地ほど、固有の酒米品種を開発・栽培する傾向があるようです。その土地の気候や土壌、水質、そして酒米の造り手により、同じ品種であっても品質に違いが生じ、日本酒の酒質に大きく影響します。

米、土、水、そして蔵人たち

 その土地の人々の暮らしの中で、酒米と土、水、そして気候に最も適した日本酒を醸してきました。日本酒はその土地の大切な伝統文化として育てられてきたのです。農夫が心を込めて育てた米を使い、蔵人たちが精魂込め酒を醸してきました。日本酒はその土地の大切な伝統文化として育てられてきたのです。

 七夕の夜、子供達が願いを込めて書き綴った短冊が、笹竹に揺れています。満点の星を見上げ、目を輝かせて天の川を探している子供達にも自然と笑顔があふれます。

その笑顔に一献献上!

(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)