11月・冬の気配

 11月、霜月に入ると暦上ではすぐ立冬(11月8日)です。短い秋も終わり、冬の気配が立ち始める頃です。11月のバンクーバーは気温もぐっと下がり、年間で最も雨が多い季節でもあります。

感謝祭

 収穫の秋、神の恵みに感謝し、Thanksgiving Day(サンクスギビング/感謝祭)でお祝いをします。 ここカナダでは10月第2月曜日)(2019年10月14日)に、米国ではカナダより1か月余り遅れの11月第4木曜日(2019年11月28日)に神の恵みに感謝し、サンクスギビングの祝祭日になります。

日本にも11月23日新嘗祭(にいなめさい)と呼ばれる感謝祭があります。宮中祭祀として東京・ 皇居吹上御所の一角で執り行われますが、天皇が五穀の新穀を天神地祇に供え、自らもこれを食べ、その年の収穫に感謝するのだそうです。またこれに合わせて日本全国の神社でも、この収穫祭が催されるという事です。

JETRO主催試飲会イベント

 JETRO(日本貿易振興機構)主催の試飲会が10月3日と4日バンクーバーで開催されました。

試飲会イベントは、日本の酒蔵と販売商社10社がバンクーバーを訪問し、地元レストランを中心とした業界関係者が招待され、SABC(BC州日本酒協会)が協賛する形で行われました。招待された50社を超える業界関係者は、各日本酒を非常に熱心に試飲していました。

 新しく日本酒の取扱いを増やしたいのでアドバイスが欲しいと来られたリカーストア関係者、また日本食以外の洋食やフュージョン系のレストラン関係者の方々も多数お越し頂きました。今までより高額な日本酒の取扱いやスパークリング酒に興味をお持ちの方々もお見受けしました。

広がりを見せる日本酒の需要

 BC州リカーストアへ行かれた時、最近日本酒の取扱い銘柄が増えたとお感じになっておられませんか

BCリカーボード(BCLDB)の発表によると、昨年2018年、日本から輸入された日本酒の増加は前年比で18.8%の伸びを示しているそうです。つまり、リカーストアでアルコール購入に消費される平均額が約20%高くなっているということです。

これはカナダ東部と比べて、アジアからの移民層が多いという事情もありますが、それだけBC州で日本酒が浸透しつつあるということでもあります。ここ数年で、日本の有名な銘柄は出尽くした感がありますが、市場が拡大し、何か今までとは違う新しい ”Something New” を求めている傾向が伺えます。>

 また今までは小さなサイズ(容量㍑)が主流でしたが、720mlボトルや1800ml(一升瓶)の大きなサイズ(容量㍑)も店頭販売される傾向も出てきました。


2013年ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録され、2020年の東京オリンピックの影響もあり、日本を訪れる海外からの観光客が増加していることで、日本文化に対する認識が高まったこともあると思いますが、そこで今我々業界関係者に求められているのは日本文化である日本酒の現地市場のトレンドを確りと把握した上で、市場ニーズに合った商品の提案力でしょう。

以前お話した『知産知消』が生産者と消費者の皆さんを強く結び付けてくれるのではないでしょうか。

五穀豊穣に感謝する

 農夫は、五穀豊穣を感謝し、田の神へ献酒します。みなで集った収穫祭も束の間、農夫たちは、蔵人として北国の酒蔵へ静かに旅立ちます。家族とひと冬別れる寂しさと、酒造りが始まる高揚が複雑に心を過ります。さあ、酒造りが始まります。

新しい酒造りに一献献上!

(一献献上はカナダ・バンクーバー情報誌Oops!うっぷすで連載中です。)